旅日記北海道編2004 集結(2)第二日目 旭川、層雲峡、糠平湖、サロマ湖 1 目覚めの一杯は旭川ラーメン 周囲が騒がしくなり俺は目を覚ました。未明のうちに旭川に到着した俺達は、道の駅で仮眠をとっていたのだ。旭川での目的は、ラーメン村に行き、本場の旭川ラーメンを食べることである。開店時間まではまだ少し時間があるようだ。道の駅で洗顔を済ませ、身支度を整える。丁度、道の駅では道北物産展を開催しており、朝から行列ができていた。物産展を物色し、食後のデザートとして上川町の牛乳で作ったプリンを購入した後、「旭川ラーメン村」へ向かう。
旭川ラーメン村は8軒のラーメン店から成っていた。迷った挙句、「山頭火」に開店と同時に入る。
山頭火は旭川ラーメンを代表する有名店で、全国に40店以上の支店がある。そんなに支店があるなら、わざわざそこにしなくてもって言われるかもしれないが、山頭火は何故か中部圏には一店もないので未経験なのだ。
旭川を後にした俺達の次の目的地は層雲峡だ。銀河の滝、流星の滝、大函と続けて見て行く。紅葉の始まりかけた山々の景観が美しいが、如何せん人が多い。俺はどうも観光地化されすぎた場所は苦手である。ただ、大函の売店で買った「頑固おやじソフト」は美味だった。
大雪湖を横目に、国道273号を南下する。途中立ち寄った三国峠は、標高1150mに位置する北海道一標高の高い峠である。峠の駐車場に車を停め、景色を眺める。
「おおっ!」松本もユキノリも興奮して写真を撮っている。この樹海が全て紅葉したら、一体どれ程の光景が見られるのか? 糠平湖は人造湖ながら、大雪の山々を背景にした美しい景観を見せる湖である。糠平湖を北側から回り込む形で林道に入る。目的地はタウシュベツ川橋梁。タウシュベツとは、アイヌ語で"白樺の多い沢"という意味である。糠平湖周辺には旧国鉄時代のコンクリート製アーチ橋群が散在しているのだが、今回俺がどうしても見たかったのは、旧線となり役目を終えた、湖上のタウシュベツ橋梁である。
林道をしばらく行くと、車を数台停められる程度の駐車場があった。バイクとスポーツカーが一台ずつ。先客がいるようだ。車を降り、細い林道に入って行く。台風の影響か、根元から倒れた大木が転がっている。足下をリスが駆け抜けた。今回の旅、初めての野生動物との出会いである。
視界が開けてきた。糠平湖が眼前に広がる。生憎の曇り空ながらなかなかの景観だ。白いアーチ橋も見えてきた。糠平湖は雪解けが進む6月頃から増水し、それによりこのアーチ橋は水没を始める。そして10月頃には完全に湖底に沈み、1月頃、凍結した湖面に再び姿を現すという。人造物である湖に、アーチ橋。しかし、それは昔から自然にあったように背景の山々と防風林に溶け込み、神秘的な美しさである。
「これって渡れるのかな〜。」ユキノリが興味を示してアーチ橋に近付いた。崩落注意の看板はあるものの、通行禁止とは書いていない。
形あるものはいつか滅びる。世の無常を再認識させるこの場所を、俺は強く心に刻んだ。
俺達は進路を北東に向けていた。今夜の宿は、サロマ湖の「船長の家」を予約している。船長の家は、安価な料金で大量のカニを食べさせることで有名な民宿だ。俺は今年で三年連続の宿泊、松本は数年振り、ユキノリは初めてである。
サロマ湖付近になって小雨が降ってきた。サロマ湖での夕日は今回は諦めねばなるまい。途中、セイコーマートで安ワインとジャスミンティーを購入する。俺にとって、セイコーマートのジャスミンティーは旅の必須アイテムになりつつある。
船長の家に到着した。今回は初の新館である。料金は千円ほど高いが、部屋にバス・トイレ、アメニティグッズ、浴衣等も完備している。それでも、某旅行雑誌の10%割引券を使えば7,000円でお釣りが来る。夕食時間まで温泉に入り、俺達は二日分の汗を流した。
「すげぇ!」ユキノリがまず第一声をあげた。テーブルに並ぶのは、毛ガニ、タラバ、鍋(蒸しタラバ)、カニしゃぶ、鮭(味噌煮と大根おろしをかけたもの)、煮魚、ワカサギ、ツブ貝、氷頭ナマス、卵とじ、茶碗蒸し、サラダ風、カニ飯、グレープフルーツ。あちこちで客が歓声が聞こえる。恒例の記念写真タイムも始まった。だが、これで驚いてもらっては困る。
「蒸しアサリで〜す。」キタ━━(゜∀゜)━━ !追加メニューだ。恐らく4品位は来るだろうという俺の予想通り、この後、焼き帆立、焼き牡蠣、ホッキのバター焼きが追加された。
「食った、食った〜。」俺達は満足して部屋に戻った。再度温泉に入り、返り血(カニの汁)を洗い落とす。セイコーマートの安ワインを開け、昼間買っておいた上川のプリンを食べる。昨日はあまり寝ていないため、すぐに眠気が襲ってきた。うとうとしていると、天気予報を見ていた松本が叫んだ。 |