旅日記北海道編2005 離島(7)





第7日目


旅の終わり


朝市の二色丼

朝。今日も小雨が降り続いている。 ホテルの朝食を朝市の食事に変更してもらえるということで、バスで送迎してもらった。市場というので二条市場と思っていたが、着いたのは北十一条の札幌中央卸売市場場外市場だった。

 指定された食堂で、カニとイクラの二食丼を食べる。道北で散々美味しい物を食べたので、それ程の感激はなかった。

 市場を一通り歩き、海産物を物色していると、ある店の親父が声を掛けてきた。
 「ちょっとお客さん。うちの店のバスで来たんでしょ?だったら他の店見ないでうちの店で買ってくのが常識でしょ。」
 「?」
 ここで気付いたのだが、ホテルから市場で送迎してくれたのはこの店のバスで、市場全体とかホテルのものではないらしい。そんな説明は一切受けていない。
 俺は不愉快になり、結局何も買わなかった。この店で買って欲しければ順を追って説明してくれればいいし、「ここで買うのが常識」という言い方も気に入らない。

 結局、俺はホテルをチェックアウトした後、二条市場に徒歩で向かい、改めて海産物を物色することにした。道東等の市場を見ているので、どうしても割高感を感じてしまうが、カニやイクラの瓶詰め、鮭トバ等を購入し、送ってもらった。

 その後、俺は早目に新千歳空港に向かい、引き続き土産購入を楽しんだ。



 中部国際空港に着いた。味仙セントレア店で台湾ミンチ丼を食べると、地元に帰ったことを一気に実感する。

 味仙の台湾ミンチ丼 北海道限定食品

 帰りのバス内。車窓から暮れかける風景を眺めながら、離島で過ごした日々を振り返った。特に、自らの足で歩き回った礼文での日々は、今迄の俺の旅の中でも最も印象に残るものになった。

 鮮やかな海の蒼さ。

 咲き誇る花々。

 海に沈む夕日。

 降るような星空。

 そして、出会った人々。

 「ミスタートド島」こと同郷のTさんは、結局今回の旅ではトド島に渡れなかった(トド島に渡ることが叶うのは翌年のことになる)。
 ヨッシーさんは、道東を旅した後、旭岳に登頂したらしい。
 俺が旅を続ける限り、彼らともいずれどこかで会えるだろう。
 そう。いつか、きっと違う旅の空の下で…。

 微かな感傷とともに、日焼けした皮膚がヒリヒリと痛んだ。身体には疲労が残っている。明日からの仕事を思うと少し気が重かったが、俺の心は晴れ晴れとしていた。
 「礼文には日常をリセットする力がある。」
 彦さんの言葉を思い出した。いつかまた日常に疲れた時、俺は礼文を訪れよう。

 車窓から夕日を眺めた。ビルの隙間からのぞく味気ない夕日ではあったが。だが、今頃礼文では同じ夕日を眺めている旅人がいるだろう。

 スコトン岬をのぞむ 礼文の夕日

 いくら離れていようと、北の大地とは繋がっている。そう、俺が旅を続ける限り。

 俺を乗せたバスは、夕日に照らされながら静かに加速していった。



旅日記北海道編2005 離島




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