旅日記北海道編2008後編 茶遊(2)





第6日目 礼文岳登山




日の天気は、予報のとおり曇りだった。
明日は、朝一番の船で島抜けするので、今日が実質、礼文島を満喫できる最後の一日ということになる。

 昨夜まで、今日の予定は全く決めていなかったが、今朝になって礼文急に岳に登ることに決めた。
 景色は期待できないかもしれないが関係ない。登りたいから登るのだ。

 礼文島を一周したのだから、最後に島の最高峰を極めておきたかった。

 今朝は気分を変えてパン食にしてみた。パン食にはカスピ海ヨーグルトが付く。飲み物はオレンジと牛乳のミックスにした。
 昨日のタコカレーの残りをサービスしてくれたので、パンにつけて食べる。一晩たって、さらに美味しくなった気がする。

  

 あややさん達は、久種湖周辺の森の丘コースを歩いて、双葉食堂へ行くコース、大門さん達は桃知コースに行くらしい。単独行動は、俺とBさんだけだった。

 礼文岳は標高もそれ程ではなく、片道二時間弱の気軽な登山を楽しめる。

 今日は見送りは省略し、登山口で降ろしてもらった。

  

  

 独り登り始める。足の痛みはまだ癒えていないが、登れない程ではない。

 登山道は緩やかな林道がしばらく続く。所々にネジ花等の花が咲いている。今のところ天気は良好だ。これは案外いい景色が見られるのでは。

  

  

 そんな淡い期待をあざ笑うかのように、第一見晴らし台に到達した位から濃い霧が立ち込め始めた。

  

  

 さらに登り、通称「にせ頂上」に到達した。風が物凄いことになっている。

 油断していると吹き飛ばされそうな激しさだ。
 フラフラしながら、体勢を引くして進む。

  

  

 足の痛みもあり、休み休み登っていく。

 やっと頂上に到達した。思った通り、視界は全くきかない。轟々と風が唸っている。

 立っているとふらつく程だ。山頂は休憩できる状態ではなかった。他に辿り着いた登山者達も、早々に引き上げていく。

  

  

 景色には恵まれなかったが、これで礼文島一周と最高峰の両方を極めたことになる。
 俺は満足し、下山することにした。

 麓に近づくにつれて、霧は晴れていった。

 標高の低い山なのに、頂上とこれ程まで天候が違うとは。山というのは侮れない。

  

  

  

  

 登山口のベンチで日記をまとめながらバスを待つ。
 この間、1時間以上。この接続の悪さだけは本当に何とかしてほしいと思った。

 バスで香深へ。

 マリンストアで土産を買うことにした。イカのウニ詰めやイカ飯等を大量に買った。

 星観荘へはバスで帰る予定だが、まだ時間に余裕がある。原付を短時間借り、元地方面へ行くことにした。

  

 ベンジョハウスで「エーデルプリン」「カルチチ」を注文してまったりする。

 さらに佐藤売店でソフトクリームを食す。今回、三回目の佐藤売店なので、申告してポラロイド撮影してもらった。

  

 カウンターでソフトクリームを食べていると、桃知コースを歩いてきた大門さん達のグループと遭遇した。一緒に記念撮影する。

 原付を返す時間が近づいてきたが、俺はもう1カ所行かないといけない場所があった。

 実は、バスの中に登山用のストックを置き忘れるという間抜けな失敗をしまったのだ。電話すると、幸運にもバスセンターに届いているとのことだったので、原付でダッシュする。

 あまりに急いでいたので、バスセンター前で原付をウィリーさせてしまい、窓から見ていたセンターの人が慌てて出てきた。

 ストックを受け取り、原付を返し、午後3時10分のバスで星観荘に向かう。
 早めに帰って野点をする約束をしていたからだ。

 船泊で、バスにあややさん達のグループが乗ってきた。

 そのまま、スコトン岬で野点をしにいくが、あまりの強風に断念する。

 星観荘最後の夕食はジンギスカンだった。もちろんダブルウニ丼も追加する。

 倶知安在住で、ジンギスカンは食べ飽きているというMさんが鍋ごとくれたので、満腹になった。

  

 今日は、「ホテル花れぶん」で働いているという京都の女性、H本さんが泊まっていた。席が隣だったので色々話をすると、何と、俺が24時間コースの途中、香深で夕食を食べた時に出会った女性と同じ部屋で生活しているという。

 「そういえば、星観荘のお客さんと『かふか』で話をしたよって言ってました。」

 何となく縁みたいなものを感じて嬉しかった。

 H本さんは、あっさりと「花れぶんちゃん」と命名されていた。

 ところで、星観荘では昨日から何故か「プチホテルコリンシア」のことが話題になっていた。

 コリンシアは、礼文島一高級なホテルのひとつだ。従業員がメイド服を着ているとか、送迎車から降りる際、踏み台を出してくれるとか、そんな噂だった。

 「踏み台?桃岩荘でもお立ち台を出してくれるよ。」と俺。

 「それとこれとじゃ全く違うって!」






 ミーティング後、ブラックホールで宿泊者全員にお茶を振る舞った。電気ポットを使って略式のお点前をする。お菓子は両口屋是清の「二人静」

 久しぶりに風のない場所でのお点前だ。お茶も冷めないし、点てやすい。

 今回の旅では例年以上に同宿者に恵まれた。そんな皆に、感謝の気持ちを込めて十数人分の茶を点てた。

  

  

  




 消灯の午後11時まで、あっという間だった。

 語り尽くせないもどかしさを胸に、俺はすっかり馴染んだ寝床に潜りこんだ。



to be continued…


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