旅日記北海道編2008前編 星祭(1)





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第1日目 再訪! 桃岩荘




年、礼文島を旅して以来、空や夕日を見るたび礼文島のことを思い出している自分に気付いて驚いた。

 「礼文島は一度ハマると抜け出せない。」という話は本当らしい。

 今年は、夏期休暇をすべて礼文島滞在にあてることにした。

 今回の旅の目的は三つ。

 一つ目は、礼文島1周約72キロ、通称「24時間コース」を歩くこと。
 二つ目は、礼文島の美しい景色の中でお茶を点てること。
 三つ目は、礼文島で七夕祭を体験することだ。

 以前、礼文島を旅しているとき、「8時間コース」を遥かに凌駕する「24時間コース」があると知った。実際に歩いたという人の話も聞いた。
 一体、宿泊費まで払って、何で一晩かけて歩き通さなくちゃいけないんだ?と、その時は思った。だが、その人の言った「月夜の利尻富士が綺麗でした。」という言葉が、なぜか心に残っていた。

 「24時間コース、やってみるか。」
 一度思ったら、そこからは早い。

 春頃から計画を立て、情報収集を始める。自分の体力なら、丸一日歩こうと思えば歩き通せるだろう。だが、礼文島の自然の厳しさを甘く見ると痛い目に遭う。

 以前俺は、8時間コースの途中で熱中症になった苦い思い出があった。なるべく安全に、楽なら楽な方がいい。時間をかけて準備する必要があると思った。

 日程は、天候が比較的安定し、夜間歩いても寒くないであろう8月に決めた。8月だったら、北海道は旧暦で七夕祭をするから、8月7日を旅立ちの日にした。

 そういえば、桃岩荘の七夕祭が楽しいと以前聞いたことがあった。初日だけ桃岩荘に泊まろう。

 昨年、桃岩荘に泊まって、桃岩荘は宿というよりはテーマパークのアトラクションみたいなものだと感じた。初日は歌って踊って景気づけしよう。

 5月初旬からトレーニングを開始する。人知れず、片足に1.5sずつの重りを着用し、入浴と就寝時以外は着けたまま日常生活をおくる(初めは寝るときも着用していたが、寝返りが打てず、熟睡できないのでやめた)。

 5月中旬。今年は超割がないらしい。だが、躊躇していて飛行機が取れないと元も子もないので、ANAの旅割を予約し、思い切って購入。

 天候不良の心配から、チャンスを増やすため星観荘は5泊で予約した。24時間コースを歩くには、星観荘の予約が不可欠だ。

 6月。休暇を申請する。木っ端役人の身分では、一週間の休みをもらうのが精一杯だ。各方面に根回ししておく。

 24時間コースでは、重い一眼レフは持ち歩きに不便なので、補助用のコンパクトカメラを新調する。

 7月。ストックや靴、キャップライト等、装備類を吟味する。シューズはトレッキングシューズを新調し、予め履き慣らしておく。

 野点用の茶籠等、お茶を点てるのに使う道具類も礼文島に相応しい物に組み直す。

 8月。栄養剤や水分等の消耗品を吟味する。

 出発直前に、星観荘は今年から燃料の高騰や宿の負担軽減から、夕食等のサポートがないことを聞いた。だが、あってもなくても関係ない。一度決めたことはやり通すだけだ。

  セントレアにて   セントレアにて2

 そして、いよいよ夏休み初日。

 俺はセントレア行きのバスに乗り込んだ。荷物は一眼レフのカメラ用のリュックに、巨大なスーツケース。このスーツケースが苦笑するくらい重い。海外にでも行きそうな大荷物である。野点用の道具が思った以上にかさばるのだ。
 特に、自作した野点用のアウトドア毛氈。これがなければ、もっとコンパクトなバッグでよかったのだが。

きしめん  セントレアから稚内へは、一日一便しか出ていない。これを逃したら大変なことになる。
 余裕を持ってセントレアに到着し、星観荘への土産に味噌煮込みきしめんなんかを選び、時間を潰した。ついでに空弁を買っておく。これは晩飯用だ。今夜泊まる桃岩荘は、食事に関しては全く期待していないから最初から食事抜きで予約してあった。

 搭乗時間が近くなった。洞爺湖サミット後のせいか、執拗なボディチェックを受ける。すっかり定番になったきしめんをすすりながら、飛び立つ飛行機を眺めた。

 予定より5分遅れで搭乗する。機内はほぼ満席だった。ANAの機内誌を読んだり、音楽を聴いたりしながら離陸を待つが、飛行機は全く動こうとしない。
 「只今、荷物の積み込みに時間がかかっています。」
 じゃあ仕方ないな。
 さらに待つ。

 !?

 遅い!おいおい、どうなってるんだ?少しばかり苛ついてきたところでアナウンスが入る。
 不審な物があるので荷物の安全確認を行っている、そのような趣旨だった。
 勘弁してくれよ!

 飛行機が遅れても、礼文行きのフェリーは待ってくれないだろう。初日に島入りできなかったら、旅の計画が大幅に狂う。
 窓からスタッフがバタバタと走り回っている様子が見える。一体誰が余計な荷物を持ち込んだんだ?
 まさか、俺の野点道具じゃないだろうな?なんて、ちょっとドキっとしたが、いくらなんでもそれはないだろう。

 しばらくして、安全が確認された旨のアナウンスが入り、飛行機はようやく離陸した。定刻より1時間遅れだ。…大丈夫か?

 自分ではどうにもならないだけに、気ばかり焦った。心の中で、もっと一生懸命飛べ!などと叫びながらも、身をまかせるしかなく、もどかしい。

 楽しいはずの旅立ちにケチが付き、苛立つ。窓から天売、焼尻島が見えても心は晴れなかった。

  機内から   天売、焼尻島

 稚内空港に到着したら、すぐにダッシュする。しかし、荷物を預けてるから、出てくるのを待つしかない。わかってはいるが、走らずにはいられない。

 ANAのスタッフが「礼文行きのフェリーに乗る方は、バスを待ってたら間に合いませんよ。」と呼びかけている。
 「じゃあ、どうしたらいいんですか?どうにもならないんですか?」
 ちょっとキレ気味に尋ねると、タクシーに乗ってくださいと言う。
 仕方ないのでタクシーに飛び乗った。結果、出航10分前にフェリーターミナルに到着。フェリーターミナルは今年から新しくなっていたので、見学するのを楽しみにしていたが、見る暇なんてあるわけない。チケットを買って乗船口へ向かう。
 エスカレーターで一旦上っておいて、なぜか階段で下りて乗船する。重いスーツケースを引きずっているので息切れした。何なんだこれは!嫌がらせか?結局地面から乗船するなら、上がって下りる意味があるのか?

 船員がチケットをチェックすることもなく、とにかく乗ってくださいと促す。それ程ギリギリだったのだろう。

 何とか乗船した。良かった…。ゼエゼエ言いながら、空いた席を探す。

 フェリーは、本当に時間通りに出航した。容赦ないな、東日本フェリー!

 ようやく落ち着き、座る場所も確保した。満員というわけではないのだが、スペースが少ない。みんな、寝そべって場所を取っているからだろう。
 これから2時間程度の船旅だ。ちょっとバタバタしたが、何はともあれ今日中に礼文に渡れるのだから上等だ(色々文句を書いたが、ANAのスタッフには心から感謝している)。

  ヒレカツみそ丼   デッキにて

 今日は風が強くないので、甲板に出ても全く寒くない。デッキの椅子に腰掛け、早めの夕食にする。
 「ヒレカツみそ丼」は、半熟卵が入っていて、かけて食べるとまろやかで美味だった。

 やがて、利尻富士が大きく見えてきた。雲もかからず、山肌までくっきりと見える。天気に恵まれて本当に良かった。島に着くころには、もう夕方なんだろうが。

  利尻富士   

  利尻富士と俺   礼文島

     桃岩のヘルパー

 西に陽が傾く中、フェリーは香深港に近づいていった。甲板から思わず身を乗り出す。
 叫びながら旗をブンブンと振り回すにいちゃん。桃岩荘のヘルパーだ。
 帰ってきた。俺はそう実感した。

 フェリーを降りると、俺は桃岩荘のヘルパーの方には直行せず、まず2日目以降お世話になる星観荘のオーナー、彦さんの所に挨拶に行った。
 「おっ!ピエール・ド・ミヤケ!」
 過去、2回しか泊まっていないのに覚えていてくれた。
 今日だけ歌って踊ってきます、と告げて、桃岩荘の出迎えへ。

 「お〜い!桃岩荘♪」
 相変わらずだ。

  ブルーサンダー号エース   豪華お立ち台

  豪華手すり   

 豪華お立ち台(サッポロビールのケース)と手すり(ヘルパーの手)を駆使して、ブルーサンダー号エースの荷台…否、豪華客席に詰め込まれる。
 レディファーストで女性が奥の対面式の椅子に座るので、ほとんどの男はスペシャルシートこと、床のゴザに座る。
 「発車オーライ!」の掛け声をかけると、クラクションが鳴り、ブルーサンダー号エースが発車した。運転手はお馴染みのマイカルさん。何年桃岩荘にいるんだろうか?ギターも弾けるので重宝されるのだろう。

 車内は、ヘルパーのニチャクさんの案内で進行していく。内容は大体昨年と同じだ。このヘルパー、私服を二着しか持っていなかったからニチャクというらしい。
 「でもご安心ください。今は4着をローテーションで着ています。」

 やはり桃岩荘では、今日七夕祭をするそうだ。狙い通りだ。

 桃岩荘に到着する。

 「おかえりなさ〜い!」
 「ただいま〜!」

  出迎え   七夕飾り

     

      回転ベッド 桐 鳥居を見上げる

 相変わらずの出迎えが懐かしい。チェックインを済ませ、ヘルパーによる施設内の説明を聞く。ミーティング等を行う広間「囲炉裏の間」には、七夕らしく笹飾りがしてあった。

 急な階段を、苦労して重いスーツケースを引っ張り上げる。囲炉裏の間をぐるりと囲むように二段ベッドが並んでいる。俺のベッドは「桐」。豪華そうなネーミングだが、普通の二段ベッドの下段である。

 簡素な家庭風呂で入浴を済ませ、外に出てみる。夕食も済ませているので、少し時間に余裕があった。

 桃岩荘前のプライベートビーチを歩いてみる。

 猫岩や桃岩が目の前という絶好のロケーションだ。この海岸を散策できるだけでも、桃岩荘に泊まる価値はあるかもしれない。

 しかも海岸には、メノウ石がゴロゴロしている。元地のメノウ海岸は、観光客がメノウ石を根こそぎ持っていってしまうのであまり落ちていないが、桃岩荘前の海岸では拾う人がほとんどいないのだろう。


  夕日が沈みかける   猫岩

 今日は、少し雲に隠れながらも何とか夕日が見え、「夕日を沈める儀式」があった。

 桃岩荘では、夕日は沈むものじゃなく、沈めるものなのだ。
 ヘルパーや同宿者と吉田拓郎の「落陽」を歌う。礼文島を旅するまでこの歌のことは知らなかったが、いい歌だ。

 夕日が海に沈んだ後は、綺麗な夕焼けになった。

  夕日   

  落陽を歌う   夕日を沈める儀式

  沈む夕日   夕焼け

  半月   猫岩と半月

 その後、恒例のミーティングになる。

 今日は七夕なので、最初に七夕の歌を歌った。その後、いつも通り古いアニメや特撮の歌を歌って踊る。

 今回、ゲストとして、昨年、桃岩荘の「織姫彦星コンテスト」で優勝したカップルが来ていて、昨年の優勝賞品である「無料宿泊券」を晴れて使うことができたそうだ。ただし、この券、巨大なダンボール製のうえ、本人以外使用不可、さらに翌年の七夕以外使うことはできないという。

 「まさか本当に持ってくるとは思いませんでした。礼文島に来るのに幾らかかると思っているんですか。」とヘルパーにからかわれていた。

 それにしてもこのカップル、昨年のコンテスト後に晴れて結婚したのだそうだ。

  七夕様   ギター

  歌と踊り   昨年の優勝カップル

 普通なら歌唱指導等が続くのだろうが、今日はここで、全員で外に出た。
 外には、祭らしく提灯が飾られ、焼きそばや揚げ餅なんかの店が出ている。店を切り盛りしているのは、浴衣姿の女性ヘルパーさんや常連さん。
 猫岩の向こうには半月が出ていた。提灯の灯りがともり、「卒業写真」とか懐かしいBGMが流れ、いい雰囲気だ。

     

     

 最初に、「コンブグロモント」なるものを買ってみた。コップ1杯10円だ。飲んでみて、「ウェっ!」となる。思いっきり昆布の出汁汁そのものの味だ。「美容と健康に」と謳ってあり、効きそうではあるがあまり大量に飲める味ではない。我慢して飲み干したが。

 続いて「イカ焼きそば」を食べる。けっこう美味しい。100円と手頃だし、夕飯が早かったのでありがたかった。

 次に、「揚げもち」。5個100円。シナモンシュガーやカレー粉等、変わった味だった。

 最後に「白玉ぜんざい」100円。甘い物で締めてみた。

  焼きそば   揚げもち

  ぜんざい   織姫彦星コンテスト

 しばらく歓談していると、いよいよ七夕祭のメインイベント、「織姫彦星コンテスト」が始まる。
 このコンテストは、男性が女装し、女性が男装し、それぞれミス彦星とミスター織姫を決めるのだ。優勝者には豪華な商品があるらしいが…。

 ヘルパーや常連のホステラー達が、次々と舞台に上り、全身タイツやメイド服とかで仮装して、一発ギャグ等をしていく。結局、優勝はヘルパーのマイカルさんの物真似をしたおっちゃんと、元気のいいおばちゃんが優勝した。

 優勝商品は、やはり来年の七夕祭の時にしか使えない巨大でかさばるダンボール製宿泊券、しかもペアでなければ使えず、分解したら使えなくなるという、とんでもなく迷惑な代物だった。

 その後、皆で海に向かって歌う。歌は、吉田拓郎の「夏休み」、松山千春の「大空と大地の中で」、坂本九の「上を向いて歩こう」と、懐かしくしんみりする曲ばかりだ。最後は、定番の「遠い世界に」。今日は床ではなく、地面を踏み鳴らしてから歌う。胸にジンときた。

  マイカル   女ヘルのコント

  優勝のおじちゃん、おばちゃん   夕闇の中歌う

短冊

 歌の後は、囲炉裏の間へ移動する。売店で、ガラナジュースとオリジナルTシャツを購入し、しばし歓談する。

 女性ヘルパー、略して女ヘルの勧めで、短冊に願い事を書いてみる。願いはもちろん「24時間コース完歩!」である。

 それにしても、桃岩荘には独特の居心地の良さみたいなものがあって、1泊で立ち去るのが惜しい。今回、俺には24時間コースを歩くという目標があるので、その思いを振り切って、明日は立ち去らねばならない。

 浴衣姿が可愛らしい女ヘルのGさんと話をした。明日「Ben&Joe HOUSE」のママをするそうだ。よし、必ず行こう!と心に決める。

 そうこうしているうちに、あっという間に桃岩時間の午後10時半、標準時間でいえば午後10時が近づいていた。
 消灯時間だ。桃岩荘ではミーティングから消灯までの時間が本当に短い。洗顔を済ませ、ベッドに入ると、「石狩挽歌」のオルゴールバージョンが流れてくる。
 そして消灯。容赦なく真っ暗になる。ライトを持ってきているので、日記位は書いて寝よう。

 しかし疲労のせいか、俺は書いている途中で深い眠りに落ちてしまった。

     





to be continued…


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