旅日記北海道編2008前編 星祭(2)第2日目 原付グルメツアー 朝4時半起床。皆が寝静まる中、洗顔を済ませる。歩いて30分位の元地の佐藤売店にウニ丼を食べに行くつもりだ。 準備をして、囲炉裏の間を通って出て行こうとしたとき、後ろでゴトンと音がした。何と、リュックが開いていて、一眼レフのカメラが床に転がっている。青ざめて、急いで試し撮りすると、特に異常はなかった。焦った。朝から冷や汗をかいた。 気を取り直し、一人見返り坂を上がり、元地を目指す。普段だったら間違いなく車で行くような距離だが、礼文島では徒歩30分の距離なら何ということもない。 周囲はまだ薄暗い。海では小舟が何艘も出てウニ漁をしていた。
佐藤売店に到着する。既に先客が一人いる。どれだけ早起きなんだ。 朝食なので、軽めに「ダブルウニ丼」(1800円)を注文する。最高級のエゾバフンウニは、鮮やかなオレンジ色で、臭みもなく、濃厚だ。だが、気のせいかダブルの割にウニの量が少ないような気がした。
桃岩荘の起床時間午前6時(桃岩時間の6時半)までに帰るため、小走りで帰る。 別に急ぐこともないのだが、起床の時に流れる「石狩挽歌」が聴きたかったのだ。
桃岩荘に帰ると、丁度起床時間だった。期待通りの大音量で石狩挽歌が流れ、寝ている人間は問答無用で起こされる。 囲炉裏の間でラジオ体操が始まったので参加する。スタンプも押してくれるみたいだ。
その後、今日島を出る人を見送る。桃岩荘では、島抜けする人は港までの1時間弱の道のりを歩かなくてはいけない(強制ではないが)。見返り坂を何度も振り返る旅人達を、見えなくなるまで「行ってらっしゃーい!」と見送った。
俺は、「島抜けしないけど桃岩荘を出る」というカテゴリーに入るので、荷物を運んでもらい、その後、ブルーサンダー号エースで港に送ってもらうことになった。 出発まで時間があるので、お掃除大会に加わる。囲炉裏の間や食堂等を、井上陽水の「夢の中へ」等に合わせて雑巾がけしていく。笑ってしまう程シュールな光景だ。
時間になったので、ブルーサンダー号エースの豪華シートに乗り込んだ。発車すると、見返り坂の頂上まで元気な兄ちゃんが追いかけてきた。 車内でしばし歓談する。俺が24時間コースを歩くというと、ヘルパーが「ピエール24(トゥエンティフォー)」という桃ネームを付けてくれた。
名残惜しいが、港へ到着する。今日からお世話になる星観荘の彦さんにスーツケースを預け、島抜けする人を歌と踊りで見送りに行く。 昨年もやったのだが、慣れるとこれがけっこう癖になるのだ。
「明日の〜 せかい ぅおっ うおっ ぅおおおっ! さが〜しに行こう♪」
その後は原付をレンタルした。一日料金5,000円だ。今日は丸1日、グルメツアーと洒落込もう。 今日は風もなく、爽やかな天候だ。原付で走るには丁度いい。
まず、定番の桃岩展望台に向かう。緩やかな遊歩道を歩き、花の写真を撮った。ツリガネニンジンやチシマワレモコウ、エゾノコギリソウが咲いていた。8月上旬になると、礼文島は既に初秋の風情である。
利尻富士がよく見えた。ここから見る桃岩や猫岩もなかなかいい。
続いて、桃台猫台へ。 先程までいた桃岩荘、桃岩、猫岩等を眺める。この展望台から見る海もまた美しい。
「Ben&Joe HOUSE」、略してベンジョハウスのオープン時間が近づいたので行ってみた。
昨日話をした女ヘルのGさんがママをしていたので、早速「シーフードカレー」を注文すると何だか不安そうにしている。聞くと、まだお客に出すカレーは作ったことがないと言う。 ベンジョハウスからは猫岩がよく見え、絶好のロケーションだ。桃岩荘の常連は、丸一日ここで過ごすこともあるようだ。俺もゆっくりしたかったが、後ろ髪引かれつつ出発することにした。
途中、島唯一のセイコーマートで買い物をしながら、北上する。ぶつかってくる海風も、今日は穏やかだ。
次のお目当ては船泊の双葉食堂。一見、普通の定食屋だが、何を食べても美味い店だ。今回は「味噌ラーメン」(700円)にしてみた。濃厚で、野菜たっぷりで凄く美味かった。 「ファミリーマートよこい」に寄って、キャンプ用のガスを買っておく。野点の時に使うためだが、飛行機には持ち込めないので現地調達しかないのだ。680円もした。 江戸屋から脇道に入り、トド島展望台に寄り道する。この道から見えるなだらかな丘陵や海もすごく絵になる。
一旦、星観荘でチェックインを済ませておく。部屋は昨年と同じく二段ベッドのアルタイルだった。24時間コースを歩いた後の足のダメージを考えて、ベッドは下段を選択した。 再びバイクを走らせ、島の最北限・スコトン岬へ。近くて遠い島、トド島が目の前だ。聞くところによると、今年は燃料の高騰からトド島ツアーはしていないそうだ。益々遠い島になってしまった。
続いて、浜中から西上泊の澄海岬を目指す。澄海岬の海は、晴天だけあって澄みきった蒼だった。 三軒ある売店のうち、道場さんの店で「タコ天うどん」をいただく。星観荘で評判だけあって、美味かった。
まだまだバイクの返却には時間があるので、鉄府に寄り道する。 歩くとけっこうかかるが、バイクならあっという間だ。
ゴロタ浜で、穴あき貝を拾った。24時間コースの途中では、悠長に拾っている余裕はないからだ。
旧星観荘、金田岬を経由してバイクをゆっくり走らせる。これは、24時間コースで歩く道の下見も兼ねている。
南へとバイクを走らせると、昨日以上に利尻富士が綺麗に見えた。 山肌までくっきり見得る程だ。
見内神社の鳥居越しに見える利尻富士が、俺のお気に入りだ。
平坦で歩きやすそうではあるが、距離はかなりのものだ。 船や車に頼るしかない島民にとって、燃料高騰は大打撃だろう。 さて、バイクもグルメツアーも十分堪能したので港へ帰るとしよう。
港でバイクを返却し、午後5時、スターライナーで星観荘に向かう。 星観荘に到着し、急いで入浴を済ませる。待っていると、8時間メンバーが帰って来たのでウッドデッキで出迎えた。
そして待ちに待った夕食だ。しばらく休漁で生ウニが出ていなかったそうだが、幸運なことに今日から生ウニが再開した。1000円のオプションでダブルウニ丼を追加する。 テーブルに着くと、隣の女性から声を掛けられた。mixiで情報収集した際に、散々足跡を付けていたIさんだった。そして、その友人のあややさん。常連のBさん。この人達との出会いが、今回の旅をより思い出深いものにしてくれることになる。
今日のメニューは、
刺身(鮭ルイベ、帆立)
豪華な家庭料理といった感じで、一品一品手が込んでいる。 夕日が沈み始めたので、夕食を中断して外に出る。空には厚い雲がかかっていたがが、海に沈む夕日を見ることができた。
今日は、船泊で花火大会があるので、全員でスターライナーに乗り込み、トド島展望台に向かった。 海を挟んだ向こう側に、船泊の灯りが見える。その上を鮮やかな花火が上がり、夜空を赤や緑に染めた。例年だと雲が多くてよく見えないことが多いらしく、今年はラッキーなのだそうだ。 けっこう花火は長く続き、身体が冷えてきた。8月とはいえ、流石は最北の島だ。明日は防寒対策をしっかりしないと。 暗い海を眺めると、遠くに漁火が見えた。
星観荘に帰り、少し遅めのミーティングになる。 ここで俺は、明日24時間コースを歩くことを表明した。
実は、今日も単独で24時間コースを歩いている人がいて、明後日は3人が歩く予定である。 写真撮影の後、定番の宴会になる。何と、今日の8時間のメンバー5人のうち、3人が元茶道部ということが判明した。
折角なので、持参した茶籠を開き、略式でお茶を点てた。
ベッドに入り、日記をつけるが、気分が高揚しているせいか、なかなか寝付けなかった。明日24時間コースを歩くというのに大丈夫か?
深夜2時位になり、俺はようやく眠りについた。
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