旅日記北海道編2009 孤高(2)第2日目 利尻岳登山決行 午前3時起床。
おっちゃん達とはスタートは一緒だが、基本的にはそれぞれのペースで登っていく。 「私はゆっくり行くから、どうぞ置いて行って下さい。」と言っていたMさんは、あっという間に先に行ってしまった。思ったとおりのパターンで、思わず苦笑する。 気難しそうなYさんは、俺の後ろを歩いていた。俺は俺で、無理せず歩こう。 4時13分、「甘露泉水」。ここは3合目にあたる。俺は以前の旅で、ここまでは来ている。
水を補給できるのは、ここで最後だ。
トドマツやエゾマツの暗い林道を進む。木の根や石はあるが、歩きやすい道だ。 4時38分、4合目(標高430m)到着。野鳥の森といわれる場所だ。 朝日が林道を染めていた。夜明けだ。
ここから道が細くなり、坂がやや急になる。石がゴロゴロ転がっていて、早速歩きにくい。既に暑く、フリースがもう役目を終えた。
5時12分、5合目(630m)。少し開けた場所から眺めると、雲の向こうに礼文島が見えた。ジグザグの坂道が続く。
5時40分、6合目(770m)。第一見晴らし。遠くに「ペシ岬」が見える。相変わらず石の多い道だ。
5時51分、6.5合目。トイレブース初登場だ。ここは携帯トイレを使用する場所だ。
この辺りから、登りが急になる。 6時07分、7合目(910m)七曲。その名の通り、曲がりくねった道を登っていく。
背の低い木が道に覆い被さっているので、前傾姿勢で登らなければならず、腰が痛い。
6時49分、第二見晴らし。遠くに「姫沼」が見える。8合目の長官山はまだまだ先だ。
午前7時10分、8合目(1218m)、「長官山」。
ここは利尻山頂の横にあるピークで、かつて北海道長官が利尻岳を視察に来た際、ここで諦めたため長官山というらしい。
凄い! 山頂は雲一つかかっておらず、雪渓が美しい。
さらに歩くと、赤い屋根の小屋が見えてきた。 7時31分、「利尻岳山小屋」。ここは、避難小屋で、基本的に緊急時に使用するそうだ。
登山道には花の数が増えてきた。リシリリンドウやエゾウメバチソウ、イブキトラノオ、リシリブシ等が咲いている。
8時04分、9合目(1420m)。 看板には、「ここからが正念場」とある。まさにそのとおりで、ここからの登りは異様にハードだった。
まず、足場が違う。軽石のようなもろい砂礫で、3歩登ると1歩登滑り落ちてしまう。
利尻岳が「難易度 中級から上級の山」と位置付けられているのは、まさにこの9合目以降のハードさからだろう。 8時44分、沓形コースとの分岐点。足場は相変わらず悪く、すぐにズルズルと滑り落ちそうになる。
9時05分、雲の上に浮かんだ「ローソク岩」が見えた。圧倒される光景で、思わず連続してシャッターを切る。先が見えてきた!
9時10分、ついに山頂(1719m)に到着した!!
利尻岳は海に浮かぶ独立峰なので、周囲全てを見渡せる。
ここで早めの昼食にする。宿で持たせてくれた弁当は、なかなか豪華でボリュームがあった。特にバナナが付いているのが嬉しい。
さらに花とローソク岩をバックにお茶を点てた。このために、重い思いをして茶籠セットやガス等を持ってきたのだ。
southfield製ガスコンロ
茶器 義山
茶杓 銘 夏山 拙作
茶碗 黄瀬戸 森岡なつ作
建水 スタッキングマグ 雪峰 スノーピーク製
茶巾筒 銀
菓子 二人静 両口屋製
菓子器 木地 四方盆
今登ってきた、あの9合目を降りると思うと、ゾッとした。実際、下りの方が怪我が多いのだ。途中、何度も尻餅をつきながら、ズルズルと下りて行った。
8合目の非難小屋では、足がつったという男性が休んでいた。ここでリタイヤするという。
下りについては省略するが、下り道もかなりハードだったことを付記しておく。
木の枝に何度も頭をぶつけ、滑って尻餅をついた。 1合下りる毎に、栄養剤やウィダーインゼリー等を摂取して自分へのご褒美として、誤魔化し誤魔化し下りていく。
7号目から6合目までが異様に長いと思っていたら、6合目に気付かず通り過ぎていて5合目に到着した。ちょっと得した気分だった。 午後2時14分、3合目。甘露泉水の看板が見えた。
ここまでくると、心底ほっとする。
水場に駆け寄り、湧き水をペットボトルに詰め、一気飲みした。
午後2時30分、ついに登山口に着いた。宿に電話し、迎えにきてもらう。
途中、「利尻富士温泉」で降ろしてもらった。
利尻富士温泉は客も少なく、ほぼ貸切状態で入浴できた。
入浴を終えて、生まれ変わったようにさっぱりした。 身体は思ったよりダメージが少なかった。足の痛みもほとんどないし、靴擦れもない。ただ、日焼け止めクリームが汗で流れてしまい、顔がヒリヒリした。ちなみに体重を図ったら、2.5Kg減っていた。
再度宿に電話し、迎えに来てもらう。宿に帰り洗濯を済ませると、夕食の時間になった。
利尻岳は、まだ雲一つかかっていなかった。これほど終日、利尻岳が見えているのは珍しいそうだ。今日を登山の日に設定して大正解だった。
今夜は利尻最後の夜だ。セイコーマートで買った安チューハイで、独り乾杯した。
思った通り月が綺麗で、その横に利尻岳が黒く浮かび上がっていた。念願の「月夜の利尻富士」を見ることができた。
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