旅日記北海道編2009 孤高(1)





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第1日目 山の素人が利尻岳に挑む




つてジョージ・マロリーは、「なぜ山に登るのか?」という問いに、「そこに山があるから。」と答えたのは有名な話だ。
だが、例え隣に山があっても、登らない人は一生登らないに違いない。

 人が山に登るのは、登らないと見られない風景があり、登らないと感じられない達成感があるからだろう。
 礼文島と出会い、歩く旅の楽しさを知ってから、俺には何となくわかるようになった。


 登山に全く興味のなかった俺だが、昨年、礼文島1周24時間コースを歩ききってから、次は利尻岳に登ってみようかと漠然と考えていた。

 利尻岳は利尻島に位置する独立峰で、日本百名山の1番目に数えられる。
 頂上は、北峰(1,719m)と南峰(1,721m)に分かれているが、2m高い南峰への道は崩壊が進み危険なため、一般登山者は北峰を頂上とみなしている。

 海の上にそびえ立つ、まさに孤高の山である。

 利尻島は以前訪れていたが、島の周囲を二周してみたものの、この島を知るには利尻岳に登らないと本当の姿は見えてこないような気がしていた。だが、登山の知識のなかった俺は、その時は麓から山頂を眺めるしかなかった。

 その後、俺は礼文島にはまり、利尻は隣から眺めるだけになっていたが、その時のわだかまりは何となく心の奥底に残っていた。


 利尻、登ってみるか。

 だが、俺は登山に関して素人である。礼文岳に登ったことがある位だ。

 春頃から装備を地道に揃え、昨年同様、足首に重りを付けてトレーニングを開始した。

 とりあえず、練習として山に登ってみたくなったので、富士山を選ぶ。

 7月中旬、富士登山決行。無事、登頂した。

 山の気候の変化の激しさ、リュックの重さ等、何となく、雰囲気をつかんだ気がした。

 そして、待ちに待った8月5日。




 5時起床。

 自宅周辺からのセントレア行きバスは、始発が6時台の1本、次のバスが9時台と、ラッシュ時を外した接続なので、仕方なく6時台のバスに乗る。

 7時過ぎにはセントレアに着いてしまい、3時間以上空港で過ごすことになった。
 礼文島の常宿・星観荘への土産を買ったり、民芸品を見たりして、のんびり過ごす。

     

 午前9時過ぎ、すっかり定番になった、高山ラーメン「豆天狗」へ。
 細麺で、あっさりした節系のスープで、とても美味い。終盤、スープに酢を入れて後味をさっぱりさせる。

 午前10時、保安検査口へ。今回は、金属探知機が鳴ることなく通過できた。

 午前10時15分、時間通り搭乗口へ。時間通りに案内されたのは初めてだ。

 機内はガラガラだった。

 10時30分、離陸。
 昨年のように、離陸が大幅に遅れて冷や冷やすることもなく、時間通りのフライトだった。

 客室乗務員も暇らしく、ドリンクを次々持ってきてくた。1回のフライトで4種類もドリンクを飲んだのは初めてだった。

 また、写真を撮ってくれたり、「こっちの方が良い風景が見られますよ。」と案内してくれたり、サービス満点だった。

     

 青森を超え、北海道上空へ。右手に朱鞠内湖、左手に天売、焼尻島が見える。空いているので、座席を縦横無尽に動いて写真を撮った。

 眼下に、雲海に浮かびあがった利尻岳が見えてきた。こうして見ると凄い山だ。本当に、あんな山を登れるのか?

     




 12時30分。稚内空港着。
 滑走路脇の空き地は、一面タンポポが咲き、大地を黄色く染めていた。
 わずか2時間のフライトで、日本最北の街に着いたのだ。

     

 稚内は快晴。気温は20℃。

 バスの接続も良く、すぐにフェリーターミナルに向かった。

 午後1時05分、フェリーターミナル着。

 利尻行きの便は、3時30分発なので、まだまだ余裕があった。ギリギリで船に飛び乗った前回と比べて、凄い違いだ。

     

 稚内駅近くの北市場で海産物を物色するが、ぱっとせず、副港市場まで足を伸ばす。まだ初日だが、職場向けの質より量の土産や、海産物をまとめ買いし、発送する。

 副港市場も以前は活気があり、お得感があったが、今回は今ひとつだった。やはり不景気なのだろう。

 前回全く見学できなかった新フェリーターミナルも、ゆっくり見ることができた。手作りパンの店もあり、明日の朝食用にアンパン等を購入した。

 待合室で待機する。礼文島行きの乗船が始まると、室内は一気に減った。やはり、礼文島行きは団体客が多いようだ。
 それにしても、この上がって下りるフェリー乗り場は不評のようで、皆ブツブツ言いながら乗船していた。



 フェリー内は混み合っておらず、座敷席に、ある程度のスペースを確保することができた。
 荷物を置き、甲板から遠ざかる防波ドームを眺める。
 セントレアからは、ずっと動き回っていたので、やっと一息ついた気がする。

 しばらく、海風に吹かれ、旅情を楽しんだ後、座敷に戻った。

 座敷では、20代前半位の女性が隣だったので、話をしてみる。名寄から一人旅をしているという。利尻は初めてで、島内は自転車を借りて周遊するらしい。
 名寄のサンピラーの話や、これから向かう利尻のこと等、しばし情報交換した。
 最近では、厳冬期に見られるサンピラー(太陽柱)も、温暖化のためかめったに見られないということだった。

     

 午後5時過ぎ、利尻島に到着。
 数年振りの利尻だ。今日の利尻岳は、全体的に薄い雲がかかっていた。

     

 港には、今日、明日と連泊する「マルゼン」のお兄さんが迎えに来てくれていた。

 マルゼンは以前も泊まったことのある民宿だ。
 登山者の間では有名な宿で、多くの山好きが集まってくるという。
 それを証明するように、下駄箱には歴戦の登山靴が並んでいた。

     

 ここは数室個室があり、一人旅でも対応してくれる。
 俺の部屋は「タラ」だった(全室魚の名前がついている)。シュールで笑ってしまった。

     

 明日に備え、携帯トイレ(400円)を買っておく。
 利尻岳は、自然環境のためトイレは設置されておらず、携帯トイレで用を足し、持ち帰ることになっている。

 午後6時、お楽しみの夕食だ。
 ここの宿は、フェリーターミナル2階の食堂も経営していて、食事はそこで食べる。送迎車に乗り、港へ。

 今夜のメニューは、たこしゃぶ、生ウニ、刺身、ナマコ酢、ホタテの味噌汁等だった。

 最高級のバフンウニはもちろん美味かったが、出汁にサッとくぐらせてゴマだれで食べる、たこしゃぶが絶品だった。デザートは、グレープフルーツゼリーだった。

     

 食堂では、今日利尻岳に登った老夫婦と、明日登るおっちゃんから情報収集した。
 老夫婦の旦那が、今まで登った山や、お薦めの宿等を次々と説明しだし、止まらなくなっていた。

 明日、マルゼンから利尻岳に登るのは、俺を含めて3人。一人は同席で夕食を食べたMさん。40代中盤位か。
 「私は登るのが遅いから先に行って下さいね。」
とニコニコしながら何度も言っていた。だが、今までの経験上、こういう人は一番先に行ってしまうものだ。

 もう一人はYさん。気難しそうな50代位のおっちゃんだ。

 どちらもベテランの風格が漂っていた。俺は基本的には一人で登るつもりだが、何だが気が重くなってきた。

 宿に帰って風呂に入る。小さな風呂だが、眼下に海が広がり、ペシ岬が真ん前に見えた。

 天気予報だけチェックし、8月5日現在、行方不明の酒井法子の安否が気になりつつも早々とテレビを消す。明日の天気は良さそうだ。

 午後9時過ぎには消灯し、明日に備える。だが、気持ちが昂ぶってなかなか寝付けなかった。


 明日は、いよいよ利尻岳に挑む。暑い一日になりそうだ。





to be continued…


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