旅日記番外編2009 ピエールの富士登山日記




はじめての富士登山 前編



 3連休の中日、7月19日に生まれて初めて 富士山に登ってきた。

 正直言って、今まで山登りの趣味はなかった。
 しかし、昨年礼文島一周24時間コースを歩き、達成感に酔いしれてから、今年の夏休みは利尻岳に登ってみるかと漠然と決めていた。
 それまでに、練習で山に登っておきたかった。

 日本一の山を練習というのもどうかと思うが、通常5合目からの登山だし、年間40万人以上も登るという山なので、それ程苦労することもないだろうと考えていた。

 俺は長時間車を運転すると眠ってしまう癖があるので、無難にバスツアーに参加することにした。
 ツアーといっても、フリープランなので、仮眠をとる山小屋が決まっているだけで、勝手に登って、時間までに下りてくるという自由度の高いものだ。

 朝、豊田市を出発。連休中で、道路はやや渋滞している。
 サービスエリアで昼食の富士宮焼きそばを食べた。
 バスは河口湖口の登山道に向かう。登山道駐車場に向かうゲートを越えてからが大渋滞で、二時間以上進めなかった。午後3時着の予定が、午後5時着になった。

 河口湖口の標高は2305m。大きなレストハウスが立ち並んでいて賑やかだ。

  

 スパッツを着用し、ストックを伸ばす。
 本来なら、5合目の高度に身体を慣らしてから出発した方が良いのだろうが、バスでゆっくり登ってきているので問題ないだろう。
 それより、2時間遅れの到着がどう響くのか。

 午後5時16分、登山開始。
 最初は平坦な道が続く。まだ明るく、景色もいいので気分がいい。泉ヶ滝から登り道が始まる。

  

  

 午後5時41分、6合目到着。突然、大粒の雨が降り始める。山の天気は変わりやすいというが、これ程とは。
 慌ててリュックカバーと雨具を着用する。リュックカバーを買っておいて本当に良かった。さらに、ゴム手袋を着用する。これは、前日に父親がテレビの富士山特集を見て、雨の登山でゴム手袋が有効と聞いて買ってきてくれたものだ。ありがとう、親父。

  

 6合目の途中で雨が上がった。雲間から虹が見えた。他のツアーに紛れ込んで、ゆっくり登る。

 

 

 午後6時57分、7合目(標高2700m)着。7合目には7軒の山小屋があると、近くのガイドが説明していた。ここから急な岩場が続くことになる。
 岩場が続くと両手を駆使するため、ストックが邪魔になる。ストックを折りたたみ、岩場に挑む。

  

 周囲はだんだん暗くなってきた。麓の夜景は綺麗だが、足元は視界が利かない。キャップライトを取り出し、照らしながら登る。
 視界が効かない中、岩場をよじ登るのはかなりのストレスだ。正直、この辺りが一番きつかったかもしれない。
 次の山小屋の灯りを目指し、次は○軒目の山小屋だ、とかぼんやり考えながら登っていく。

 

 山小屋ごとに少し休憩する。富士山では、缶ジュース500円とか、ビール600円とか、非常に高い。運搬のことを考えると仕方ないのだが。ちなみにトイレも基本的に有料だ。

 ついに7件目の山小屋に到着した。そろそろ8合目だろうか。この辺りは余裕がなくて写真も撮っていない。

 午後8時25分、8合目到着。標高3000mだ。8合目には予約してある山小屋・白雲荘がある。やっと仮眠できると思うと嬉しかった。
 しかし、7合目の山小屋がほぼ等間隔に並んでいたように、8合目の山小屋も離れて営業しているようだ。
 白雲荘は何軒目にあるんだ?同じ8合目でも、まだまだ先にあるのではと思うとゾッとした。

 8合目の1軒目の山小屋は太平館。
 「立ち止まらないで。休憩するならもっと先の広場で休んでください。」と、兄ちゃんが無慈悲に案内していた。基本的に宿泊客優先なのだ。
 登山道は、岩場から砂礫の滑りやすい道へと変わった。
 酸素が薄いせいか、心拍数が多くなり、すぐに息が上がってしまう。
 次の灯りを目指し、気持ちを奮い立たせ歩いていく。

 次の山小屋は…、蓬莱館だった。違った!一気に落ち込む。たまりかねて、蓬莱館のスタッフに白雲荘はどの辺りかと尋ねると、次の山小屋で、歩いて2、30分だと教えてくれた。しかし、20〜30分というのは、元気な人の場合だろう。とても30分で辿り着けるとは思えなかった。

 何度も休みながら歩く。暴風が容赦なく体温を奪った。鼻水が止まらなかった。あと少しと思いながら途中で重ね着しなかったので、合羽の下は薄いシャツとトレーナーの2枚だけなのだ。寒さから早く開放されたかった。

 

 午後9時52分、ようやく白雲荘に到着した。
 スタッフに案内されて、寝室へ。巨大な2段ベッドに雑魚寝するようだ。

 「ここからこの柱まで4名様で寝てもらいますので。」
 「わかりました。ここからここまでで寝ればいいですね?」
 「いえ、違います。その半分です。」
 「!!」

 ピーク時の山小屋は、相当ひどいとは聞いていたがここまでとは。布団の半分位のスペースだ。掛け布団も共用。ちなみに俺の隣は知らないおっさんだった。

 食堂に行き、遅い夕食を食べる。多くの山小屋がそうであるように、メニューはカレーだった。申し訳程度にハンバーグが付いていた。
 しかし、腹が減っていたので凄く美味かった。
 この時に、朝食の弁当も受け取る。
 食後は、ココア(400円)を頼んで身体を暖めた。お湯を注いだだけの物だが、金銭感覚が麻痺しているので安く感じた。

 

 午後10時55分、狭い布団に潜り込む。午前1時前には出発したいので、2時間弱しか仮眠はできない。
 眠れたか眠れないかもわからないまま、気が付くと午前零時を過ぎていた。



to be continued…


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