旅日記北海道編2009 孤高(6)





第6日目 最終章




日は旅の最終日。
何もしなければ、今日は実質移動だけで終わってしまうので、早朝5時から行動を開始した。

  

 今朝も曇っている。

 スコトン岬まで散歩することにした。

 潮の匂い、波の音、海風の清々しさ。
 すべてを愛おしむように、ゆっくり歩いた。

  

 スコトン岬から崖下を見下ろすと、ウニ漁の小舟が何艘も出ていた。
 今日も穏やかな日になりそうだ。

  

 今日は気分を変えて、洋食の朝食にしてみた。
 オレンジジュースと牛乳のミックスは、ウニジュースという名で落ち着いたらしい。

 見送りのときに目立つという黄色いバンダナも購入した。

 星観荘では、しばらく見送りの儀式を省略していたのだが、俺のリクエストで今朝は儀式をしてくれた。

  

 「忘れないで」の歌に合わせ、皆と握手を交わす。
 いつものことだが、涙が溢れそうになった。

 今日は、久しぶりに8時間コースに行く人がいて、送迎の儀式もする。
 男二人の8時間コースなので、「愛が芽生えるといいね!」と皆にからかわれていた。

  

 一便で島抜けするのは俺一人だった。
 俺一人のために、宿泊者のほとんどが見送ってくれ、一人一人声をかけてくれた。

  

 「行ってらっしゃーい!」

 皆の声に、俺も黄色いバンダナを振りながら、精一杯叫んだ。

 「行ってきまーす!」

      (※ 校長撮影)

 どんどん遠ざかる港で、皆、見えなくなるまで手を振ってくれた。




  









 そして今、俺は稚内空港にいる。
 愛知の蒸し暑さ、明日からの仕事を思うと、それだけで気が重くなった。

 重苦しい気分とは裏腹に、稚内の空は晴れ渡っていた。
 この青空が、利尻と礼文にも続いていますように。

  

 飛行機が離陸する。

 窓から眺めると、彼方に霞む利尻と礼文が一瞬微笑んだような気がした。






 了







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