旅日記北海道編2006 @  復興 (1)





第1日目  旅立ちは五月雨とともに


セントレアにて

薫る5月中旬。思いがけず連休をもらえたため、俺は旅行代理店に飛び込んだ。目当ては格安のフリーツアーだ。
 なんとか函館往復とホテル1泊のプランを押さえた。シーズンオフであるため、名古屋、函館往復とホテル1泊付きで三万円弱となかなかお得である。
 今回の旅は道南3泊4日。メインは、北海道を旅するようになって10年以上になるが未だ訪れていない島・・・奥尻島。GW明けで空いているし、丁度、ウニ漁も解禁になったはずだ。

 旅立ちの日は雨だった。長年北海道を旅してきたが、雨降りのスタートというのは初めてだ。向こうは晴れていればいいのだが。
 セントレアからANAの函館行きは一日一便。今年二度目の函館行きである。期間限定のカボスジュースを飲みながら、俺は束の間の空の旅を楽しんだ。

   函館駅    市電

 函館に到着すると快晴だった。突き抜けるように空が青い。だが、さすがは5月の北海道。温度は16℃と少し肌寒い。

 バスで函館駅周辺まで移動し、路面電車の一日券を購入する。これは、飲食店や函館山ロープウェイの割引も付いていてなかなかお得だ。函館に到着したのが午後3時。到着時間が遅いので、もたもたしていると暗くなってしまう。今日は時間の許す限り歩き回ろう。

 まず俺は、函館の坂巡りをすることにした。函館は坂の街と称される程、坂が多い。今年の二月に訪れた時は一面の雪景色だったが、今頃はどうだろう。

   チャチャ登り    聖ハリストス教会

 所々桜が咲いている。函館の桜は満開を少し過ぎた位だろうか。俺は、まず大三坂へ、そして「チャチャ登り」に向かい歩いて行った。「チャチャ」とは、アイヌ語でお爺さんを意味している。お爺さんの様に腰を曲げて登ることから、この名が付いたそうだ。雰囲気のある石畳を、その名の通り前傾姿勢で登っていく。カトリック元町教会や、聖ハリストス教会等、異国情緒あふれる建物が、函館に来たことを実感させる。坂を登り終え、振り向くと、青い海が目に沁みるようだ。

 坂から見た風景1 坂から見た風景2

 俺は北に向かって歩いた。八幡坂、日和坂、基坂と、坂を眺めながら外国人墓地の方へ向かう。
 函館の外国人墓地は初めて訪れた。外国人墓地といっても、西洋人の墓だけでなく、ロシア人や中国人の墓もあり、国際色豊かである。

 墓地をしばし散策する。見下ろすと海が見えてなかなかロマンチックな場所だが、振り返ると外国人の墓以上に寺や日本人の墓が沢山見えて、少し興ざめだ。

 外国人墓地 外国人墓地から見た海

 函館ドッグ前から市電に乗り、俺は堀川町駅前にある「中島廉売」を訪れた。ここは、食料品だけでなく、衣料品等も扱う商店街である。
 俺は、函館駅前にある朝市はあまり好きではない。土産等を買わせようとする呼び込みの五月蝿さ、強引さは、個人的には北海道一だと思っている。同じ呼び込みでも、釧路の和商市場の方が幾分マシだと思う。俺が朝市に行く時は、海産物を買うためではなく、食堂等に飯を食べに行く時だけだ。  中島廉売は、観光客向けではなく、函館市民に親しまれる地域密着型の市場で、生活感に溢れていて俺は好きである。もちろん、強引な呼び込みなどはほとんどない。

 中島廉売 ウニとソイ

 俺は、薄暗いアーケードをうろつきながら、今日の夜食にする海産物を物色した。ウニが一折千円程度、ソイの刺身が300円だ。ご飯は、後でコンビニででも調達すればいい。

 いい買い物ができて満足した俺は、函館駅付近にある「うにむらかみ」に向かった。ここは、比較的安く、良質なウニ丼が食べることができ、函館に来た時は毎回利用する店である。この旅初めてのウニ丼だ。やはり本場で食べるムラサキウニは美味かった。

 むらかみのウニ丼 函館国際ホテル

 市電で、今夜の宿に向かう。一泊目の宿は「函館国際ホテル」である。駅から少し外れているが、なかなか豪華だ。しかも、シーズンオフで空いているのだろうか、一人でツインの部屋を使わせてもらった。坂巡りでけっこう歩いたので、広いベッドに横たわり、しばし休憩する。
 先程買ったウニとソイは、夜食にしようと思っていたが、小腹が空いたので食べてしまうことにした。コンビニでご飯だけ買ってきて、ウニ丼にする。一折のウニを独占することなど、日常はできないので非常に贅沢な気分にさせてくれる。一度、通風になる程ウニを食べてみたかったので、ただ、満足だ。ソイの刺身も、弾力があって美味だった。

 さて、函館といったらやはり夜景を見なければなるまい。俺は再度市電に乗り十字街へ、そして、ロープウェイ駅へ向かった。今年二度目の函館山夜景だ。
 ロープウェイは、修学旅行らしい学生達やカップルで混み合っていた。一人で夜景を見るのも少し寂しいが、函館に来たなら夜景を見なければ。

 函館山の夜景といえば、世界三大夜景の一つとされている程有名である。俺はこれまでに数回見ており、今年は2回目になるのだが、何度でも見たくなる景観は確かにあるのだ。

 函館夜景1 函館夜景2

 展望台から外に出ると、革ジャンを羽織っていても肌寒い。目の前に宝石をばら撒いたような夜景が広がった。真っ暗な海に挟まれ、扇のように輝く幾千万もの街の灯。自然が作り出す美とは、対極にある人造の美である。俺は時間を忘れて街の灯を眺め、写真を撮り続けた。

 夢中になり過ぎて、すっかり身体が冷えてしまった俺は、ライトアップされた教会等を眺めながら帰路についた。途中、「ハセガワストア」に寄り道する。ハセガワストアは、主に函館で展開するコンビニで、惣菜や弁当等をその場で作ってくれて人気がある。セイコーマートをこよなく愛し、北海道を旅する時はセイコーマートしか利用しない俺だが、函館周辺ではハセガワストアと決めている。俺は焼き鳥弁当(小)と安チューハイを購入した。

 港の風景1 港の風景2

 ハセガワストア 焼き鳥弁当(小)

 ホテルに戻った俺は、旅の初日を祝い、一人乾杯した。出来たての焼き鳥弁当はとても美味い。いよいよ明日は奥尻だ。俺は、まだ見ぬ離島に心を馳せた。



to be continued…


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