旅日記北海道編2010 楽園 2





三日目 焼尻島、天売島




一番の日差しから、今日は暑くなりそうな予感がした。
朝食にはタコの頭の刺身が出た。
ご飯をおかわりしたいところだが、ちょっと控えめにしておく。この後食べたいものがあったからだ。

     

 焼尻島に来た目的のひとつが、この島のサフォーク肉を食べることだった。

 もともと小さな島なので、焼尻の羊は収穫量も少なく、希少だ。
 東京で高級フレンチに使われているそうだ。島では港にある「島っ子食堂」でしか食べられないらしい。

 港まで送迎してもらい、食堂に行くがまだ開いていない。
 しばらく待つと、おばちゃんが来たのでサフォーク肉を食べたい旨頼んだ。
 朝食を食べたばかりなので、肉のみの注文した。
 すぐに炭火を起こしてくれる。小皿一枚で、何と3000円!高っ!!

     

 さて、焼尻産サフォーク肉の味は?シンプルに塩胡椒食べる。
 最初は、本当に羊?って感じがした。
 良質の鶏のような食感だ。だが、食べるにつれて微かに羊独特の匂いがする。
 適度に歯ごたえもあり、食べ進めるに従って美味くなってくる不思議な感じだった。

 9時40分のフェリーに乗る。
 焼尻、サフォーク肉のように味わい深い島だった。次の目的地は隣の島、天売島だ。




 天売島は、羽幌からは焼尻よりやや遠くに位置する。
 島の周囲は焼尻と同程度の約12キロ。人口約380人。
 ウトウという鳥の世界最大の繁殖地であり、日本で唯一オロロン鳥が生息する海鳥の楽園だ。

 焼尻島から30分もかからず、天売島に到着した。

 今日の宿「萬屋旅館」に荷物を預ける。
 迷ったがバイクをレンタルすることにした。上り坂がけっこうキツそうだからだ。

     

 とりあえず島を一周してみよう。
 今日は快晴で、なかなか気分がいい。
 空が青いと、海の青さも一層際立つからだ。いい写真が撮れそうな予感がする。

     

 急な坂をバイクで駆け上がり、「赤岩展望台」に到着する。
 地面を見ると、無数の穴があいているのがわかる。
 ウトウの巣だ。昼間は親鳥は漁にでていて、雛しかいない。

     

     

     

 海が青い。

 積丹半島や礼文島と同じ、深い青だ。

 次に海鳥観察舎に向かう。

 ここは望遠鏡が設置されており、海鳥を観察できる。

     

 屏風岩といわれる岩の上に、ペンギンのような姿を発見して、ドキリとする。
 めったに見られないというオロロン鳥か?しかし、それはオロロン鳥を呼び寄せるための模型だと気がついた。

     

 この付近に丁度いい石のテーブルがあったので野点をする。


7月11日 天売島野点 会記



 真空断熱魔法瓶

 茶器 春慶塗 平棗

 茶杓 銘 渡鳥 拙作

 茶碗 志野 森岡なつ作

 建水 スタッキングマグ 雪峰 スノーピーク製

 茶巾筒 銀

 菓子 旅枕 両口屋是清製

 菓子器 変り三つ石紋 盆



 これで天売、焼尻二島での野点達成だ。

 今日は本当に海が綺麗で、海風を受けてバイクを走らせると爽快だ。

 バイクを港に返し、周辺を散策する。
 港では活ウニを格安に売っていた。大量に買って乾物と一緒に家に送った。

 昼食は、港にある「てうり亭」ウニ丼を食べた。
 天売のウニはムラサキウニだ。醤油なしでも美味い。1900円と格安だった。

     

 今日の宿、萬屋旅館に徒歩で向かう。
 海が目の前の、清潔感のある宿だった。

     

 宿の前の海でのんびり過ごしていると、お待ちかねの夕食の時間になった。

 部屋に運ばれた膳は二の膳まであり、生ウニや鮑、ソイの活き作りを始め、焼魚に海鼠酢、ホタテの味噌汁、塩ウニ、ウニ汁等、圧倒的な量だった。
 生ウニはもちろん美味いが、火を通したウニ汁が絶品だった。
 これで1万円程度の宿泊料とは安い。

     

     

 その後、宿にバスが来て、ウトウの観察ツアーに行く。

 ウトウは一日に300キロ以上移動し、一日一度しか巣に帰らない。暗くなると、雛に餌を持って一斉に帰巣する。

 地面の穴付近には、ウミネコ達が待ち構えている。ウトウの運ぶ魚を狙っているのだ。
 空中ではウトウの方が圧倒的に早いので、地面で待ち構えているそうだ。

     

     

     

 まだ明るいうちは、ポツポツしか帰って来ないが、暗くなるに従って、空を埋め尽くす程のウトウが巣を目指して降りてくる。

 その数、60万羽以上という。その光景には全身に鳥肌が立つほどで、ただただ圧倒された。

 地面ではウトウとウミネコがバトルを繰り広げられている。
 横取りするのは卑怯なようだが、ウミネコはウトウ程上手く魚を捕れないので必死なのだ。
 ウトウも素早く巣穴に潜り込むので、ウミネコもなかなか魚にありつけない。

     

     

 鳥の鳴き声が響き渡り、一帯はまさに異空間だった。

 ここは本当に日本か?
 昼間ののんびりした光景と一変し、自然の厳しさを見せつけられた気がした。









to be continued…


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