旅日記北海道編2008 特別編 24時間コース(1)礼文島1周72km 24時間コース 前編 昨年、礼文を旅している時、礼文島一周24時間コースを歩いた旅人の話を聞いた。 やってみるか、24時間。
驚くほど簡単に、俺は24時間コースの決行を決めた。 日程は、天候が比較的安定し、夜間歩いても寒くないであろう8月に決めた。 5月初旬からトレーニングを開始する。人知れず、片足に1.5sずつの重りを着用し、入浴と就寝時以外は着けたまま日常生活をおくる(初めは寝るときも着用していたが、熟睡できないのでやめた)。 5月中旬、天候不良の心配から、チャンスを増やすため星観荘は5泊で予約した。 6月、重い一眼レフは、持ち歩きに不便なので、コンパクトカメラを新調する。 7月、ストックやシューズ、ライト等を吟味する。シューズは予め履き慣らしておく。 8月、栄養剤や水分等の消耗品を吟味する。 出発直前に、今年から燃料の高騰や宿の負担軽減から、夕食等のサポートがないことを聞いた。あってもなくても関係ない。一度決めたことはやり通すだけだ。
そして、8月7日。いよいよ礼文に出発した。他の日程は後日記述することにして、感動の冷めないうちに24時間コースの記録を先に書こうと思う。
8月9日(土)朝、天候は晴れ、時々曇り。昨日は寝苦しくて4時間位しか眠れなかった。あまり現実味のないまま、いよいよ24時間コース(礼文島1周72キロ)がスタートする。 服装は、予め同宿者に寄せ書きしてもらったTシャツに、「桃民」トレーナー。さらに長袖シャツ2枚。 その他の装備品として、トレッキングシューズ、折り畳み式ストック、カメラ(Nikon COOLPIXP5100)、携帯電話、雨ガッパ、携帯用防寒シート、キャップライト、マグライト、軍手、サポーター、テーピング。 持ち物は、スポーツドリンク1.5リットル(500ml3本)、水筒(水1リットル入り。飲んでもいいし、首や頭を冷やせる)、栄養剤2本、ウィダーインゼリー2パック、ブドウ糖、アミノバイタル、ポッカレモン、薬類(風邪薬、鎮痛剤、胃腸薬、消毒液)、日焼け止め。 星観荘のブラックホールから虹が見えた。記念撮影を済ませ、午前7時30分、盛大な見送りの中星観荘を出発。
7時40分、鮑古丹。晴れているのに小雨がぱらつく。狐の嫁入りか…。独りつぶやいてみる。海は相変わらず綺麗だ。
7時48分、ゴロタ岬北側麓。先を上っていく人影は桃岩荘の8時間コースだ。エゾウメバチソウが可憐に咲いている。
8時05分、ゴロタ岬頂上。 景色が綺麗なので、つい写真を撮りすぎてしまう。利尻富士は雲に隠れていた。桃岩荘の後続部隊に追いつくが、道が狭いので追い越せない。
8時29分、ゴロタ岬南側麓。245段の階段を一気に降りた。やっと桃岩荘の8時間コースの後続部隊を追い越せた。
8時40分、ゴロタ浜。ここは南国か?って位、海も砂浜も美しい。流石に穴あき貝は拾わなかった。桃岩荘の先行部隊を一気に追い越す。
8時58分、鉄府トイレ。 尿意はないが、用を済ませておく。ここでは水も補給できる。
9時04分、鉄府から西上泊に向かう坂道。急な登りだが、まだまだ余裕だ。振り返ると、桃岩荘の人々は全く見えない。ちょっとゆっくりすぎないか?
9時25分、西上泊。既に、スポーツドリンク1本を消費した。すぐにポカリを売店で購入。さらに、景気付けにオロナミンCを一気飲みする。売店のご主人に、24時間を歩いていると言うと、バナナをくれた。ありがたい。トイレで水も補給する。
港を通り抜け、花を愛でながら上り坂。草原のコースに入る。なだらかな丘陵地帯が美しい。
10時08分、召国分岐。時々、ブドウ糖を口に放り込みながら歩く。
10時19分、花畑。ちょっとだけ休憩。今まで、澄海岬以外は休憩なしに歩いている。靴が既に泥だらけだ。
アミノバイタルの顆粒を飲む。少し元気になった気がした。再び、草原と林道。
11時12分、砂滑り手前の林道で、Bさん、あややさん他、星観荘8時間コースと出会った。
11時28分、砂滑り。一気に滑り降りるが、麓付近で足を滑らせ転倒。手首に擦り傷ができる。
11時52分、アナマ岩。ここからは海岸のコースだ。巨大な岩がゴロゴロと行く手を遮る危険な場所だ。それにしても、ここの海岸って、こんなに岩多かったっけ?凶悪なまでに大きい岩を飛び越えながら進む。油断すると足を痛めるので慎重に進まないといけない。
12時10分、宇遠内。休憩所「一休み」に入る。ラッキー!開いていた。あとで聞いた話だと、8時間コースのBさん達が通ったときは閉まっていたそうだ。
刺身は安いが、飲み物は高い。500mlのペットボトル190円也。船での輸送費が高いので仕方ないのだが(宇遠内は船か徒歩でしか行けない)。スポーツドリンク1本購入し、水も補給。バイオトイレで小用も済ませる。
12時35分、宇遠内を出発する。ここからの山道は単調で、個人的には大嫌いだ。
コースは長い長い林道へ。周囲に聞こえるのは蝉の声だけだ。これでもかって位林道を歩いていく。
13時20分、礼文林道香深井側入口。さらに林道は続く。虻が大量にたかってくるため、立ち止まれない。ちょっと荷物を降ろそうとしただけで、2、30匹の虻が襲い掛かってきた。全く休憩できないまま、ストックを振り回して、群がる虻を追い払いながら進むしかない。
13時55分、礼文滝入口。時々、利尻富士が見え始め、大いに元気付けられる。
14時18分、レブンウスユキソウ群生地。携帯の電波が立った。初めて宿に連絡し、彦さんに無事を伝える。
14時40分、礼文林道香深側入口。まあまあなペースだと自己分析する。桃岩荘の8時間コースを、実際に8時間位で歩くペースだろうか(桃岩荘の8時間コースは、一般的に10時間位かかる)。
14時50分、フラワーロード入口。最後のトレッキングコースが始まる。 15時10分、桃岩展望台。ここからは、花の咲く坂道をさらに登っていく。
元気な時は歩きやすく整備した簡単なコースなのだが、まるで空へと続くような長い階段が、万里の長城のように立ち塞がっていた。軽く眩暈を覚える。
ここからのコースは、桃岩や猫岩を色々な角度から見ることができる。猫岩には、実は穴が開いているのがここからの眺めでわかる。
15時55分、元地灯台。ここからはようやく下りのコース。晴れていれば利尻富士が目の前に広がるのだが、曇っているためあまり見えない。
16時18分、島最南の集落、知床に到着。ここからは、島の東海岸を北へ向かっていく。今後、地面は最後までアスファルトだ。自販機が所々あるので、この先、水分補給の心配は要らない。お茶を買ってがぶ飲みした。
星観荘では、17時にフェリーターミナルに最終便の出迎えに来る。うまくいけば間に合うかも。俺は早足でフェリーターミナルに向かった。 16時55分、フェリーターミナル。トイレを済ませ、空のペットボトルやゴミを廃棄し、彦さんの到着を待った。
彦さんと合流し、今日島入りした二人を出迎える。 17時15分、夕食は、マリンストアの2階、「かふか」で食べることにした。ホッケのちゃんちゃん焼き定食に活ウニが付いて1500円。「ちどり」よりお値打ちだ。目の前の炭火でホッケを焼き、焼けたところから味噌とネギを混ぜて食べる。皮を鍋代わりに、破らないで食べるのがコツだそうだ。皮は最後に切ってくれ、煎餅のようにして食べる。殻付のウニは流石に新鮮で、醤油は要らない。
隣の席に若い女性が座ったので声をかけた。
17時55分、「かふか」を出発。けっこうゆっくりしてしまった。座っていたときは気付かなかったが、足の痛みが本格化している。特に足首が痛んだ。
18時15分、島唯一のセイコーマート。栄養剤とスポーツドリンクを購入し、栄養剤はその場で一気飲みする。暗くなり始めたため、キャップライトを点灯する。 夜の帳がおりた。ここからが正念場だ。
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